8月に発売された四谷天窓オムニバスアルバム「imanoto」。
参加アーティストにスペシャルインタビュー!
第6弾は・・・「山先大生」

ーーまず、山先さんが音楽を始めたきっかけを教えてください。

音楽がずっと流れてる番組あるじゃないですか、スペースシャワーとか。不登校だった時にああいう番組とかYoutubeをずっと見たり聴いたりして過ごしていて、すごい音楽に対して感動を覚えたっていうのと、動画のコメントに「明日死のうと思ってたけどもう1日頑張ってみます」とかそういう、誰かが救われてるコメントがすごい書いてあって、それを見て、ちっちゃい頃から仮面ライダーとかヒーローに憧れていた僕からすると、これもヒーローの形だなと、変身はできないけどヒーローになるっていう選択肢が世の中にはあるんだって思って音楽を始めました。

ーー本格的に取り組むようになったのはいつ頃ですか?

ライブハウスに出たのは16になる歳、高校一年生の頃に弾き語りで出たんですけど、楽器自体は小学5年生ぐらいのときから始めてました。

ーー楽器はその時からギターだったんですか?

ギターでした。なんか父さんがパチンコで勝って、俺が学校に行かないからずっと暇暇言ってるのに対して、「これやるからもう暇って言うな」ってギターを渡されて。

ーーそこからギターで活動を始めたんですか?

そうですね、それから曲を作っていって、高一で初めてライブに出ました。

ーーバンドとかの道もあったと思うんですが、何故弾き語りで活動しようと思ったんですか?

初めはバンドがやりたかったんです。ブルーハーツとかすごい好きだったんで。でも周りにできる人がいなくて一人で弾き語りを始めたのが、最初のライブ。

そこから一回高校二年生の頃にバンドをやって、一年か二年ぐらいやってたんですけど、みんなが大学行く行かないみたいな時期にすれ違って解散しちゃって。そこからまた弾き語りに戻りました。

弾き語りに戻ってから思うのは、バンドに比べてすごく言葉が残る。これが魅力だなと思っていて、今はもう完全に弾き語り一本で一直線みたいな感じですかね。

ーーライブを見ていてずっと気になっていたんですが、山先さんがライブでメガネを外しているのは何故ですか?

ああ…。笑

結構汗もかくし、ガッて歌うんで、メガネがずれちゃうのが気になってそれが嫌で外してるのが一つ。

あとは、めちゃめちゃ緊張しちゃうんで、ある程度視界がぼやけてた方が集中力が上がるみたいなところもあります。ずっとそうしてきたので多分今はもうそれが一個のスイッチ、切り替えみたいなものとしてあったりするのかなって思います。

ーー山先さんは力強く熱いアーティストだなと感じているのですが、ライブスタイルに影響を受けたアーティストはいますか?こうなりたいというアーティスト像などあれば教えてください。

元々はそんなに強くやる感じじゃなかったんですけど、声がしゃがれちゃうんですよね、高音が。

尾崎豊さんが好きなんで、熱いライブっていうものもすごい憧れがあるけど、かっこいいと思うけどもそれをしたいというよりは、普通に好きだった。

声も始めたての時は多分もうちょっと高かったんですよ。どんどん低くなって高音がしゃがれるようになって、自分がそうなったから徐々にそれを生かす方向にいったというか。

でもやっぱり尾崎豊さんの魂削って歌ってる感じっていうか、このライブ一つに全部かけてるくらいの感じがすごくかっこよくて憧れるところはあります。

ーーなるほど、ありがとうございます。

今回のオムニバスアルバムについて話をうかがっていきたいのですが、「アメニモマケテ」を収録しようと思ったのは何故ですか?

曲の候補は色々あったんですけど、「アメニモマケテ」は僕の中で一番素直というか直情的な曲で、主人公が僕自身っていうのもあって、自分の色を出すっていう意味では一番この曲が良いかなと思って選びました。

ーー山先さんの歌詞は自分の想いがそのまま詰まっているようなストレートな言葉が印象的ですが、「アメニモマケテ」も含めて、作詞作曲でこだわっている部分があれば教えてください。

まず、あんまり自分の中でルール付けをしない。自分の中から出るものは全部肯定したいと思っています。同じ人間から出るものだから偏ってはいるんですけど。

それと、ヒーローというものに憧れてたのもあって、発明的な言葉が欲しいなと。「この考え方もあるんだ」、みたいな、自分が考えられる精一杯の考え方に、いろんな人が考えてる考え方に、別の方向性とか捉え方が加わるような楽曲だったら良いなってすごく思ってます。

なので作詞に関しては使う言葉とかもちょっと棘がある言葉だったり少しエッヂの効いた感じの、エグい言葉っていうんですかね、そういう言葉も使ったりするんですけど、それもよりリアリティのある言葉でありたい。でも一般的な発想とはまた違う考え方を提示したいっていうのもあるんで、作詞に関してはすごく煮詰めてる感じですかね。

作曲は言葉ができてから載せてく感じなんで、もう言葉次第ですね。

ーー「アメニモマケテ」は聴く人の年齢や立場でも響き方が違うだろうなという印象を受けました。山先さんの中ではどういう人に聴いてほしいというのはありますか?

僕の楽曲全般かもしれないんですけど、特定のこの人にっていう感情よりは、それぞれ別の捉え方をしてもらいたい。聴く人によって楽曲が完成する形がかっこいいなと思っています。

「アメニモマケテ」に関しては、日常の中で多分誰しも諦めを必要とされる部分があって、でもそれをなんかもう、ある種必然としてしまって受け入れてる自分もいて、そういうのってきっと僕の年齢・性別以外の人も感じてるんじゃないかと思ってて、日常で感じてはいるけど言葉にならない部分を言葉にしたくて。

全ての「諦めてしまった人たち」に、なのか、「諦めたふりをしてるだけのまだ何かくすぶってる人たち」に、なのか、聴いてほしいと思っています。

ーー山先さんは弾き語りで活動して今何年ぐらいですか?

初めてのライブが16って考えたら…もう6年ですね。

ーー6年間で見えてくるものも変わってくると思いますが、弾き語りで活動してきた中での心境の変化はありましたか?

一番はライブをどんどん好きになっていくというか、ライブハウスが、ライブという環境がとても好きで、それは始めた当初よりは今の方が強くなってます。思ってる言葉を紡げるようになってきたのか、思ってるように歌えるようになってきたのか、多分いろんな作用があると思うんですけど、一貫してずっと基本的にライブは好きで、なんか変わったものといえば…

これ質問に沿ってるかわかんないんですけど、僕本当に小中高とかあんまり学校に行けてなかったんで、自分の中の青春っていう部分がすっぽり抜けてて、でも音楽やってて、ライブハウスに出てて、そのすっぽり抜けた青春の部分を今埋めてるような感覚があって、すごく楽しいですね。

その感覚はずっと消えてないと思います。音楽始めた当初から。

変わったことってなんですかね…、なんだろう、人付き合い?人のことが昔より怖くなくなったし、極端な嫌悪感とか極端な苦手意識みたいなのが、出会ってきてくれた方々のおかげでだいぶ払拭されました。対人に関しての僕自身っていうのが結構変わったかもしれないですね。

ーー今年の12月にワンマンが決まりましたが、今回ワンマンを決めた理由を教えてください。特にレコ発ワンマンとして、企画ではなくワンマンを選んだのはどういう気持ちからですか?

実を言うと2年前ぐらいから地元の柏っていう場所で年末の僕の誕生日付近にワンマンをやってて、今年は都内に出ようっていう気持ちがありました。

そもそも僕結構外向けの動き方が下手っていうか苦手で、対人関係が苦手っていうのもあるのかもしれないんですけど、楽曲制作とかも内に向いて音楽にガッてのめり込んでやってて。そうやって一年で何十曲かできた楽曲と、一年の終わりに、ある種自分の中での総括として向き合おうと思って。

ワンマンをする理由は、お客さんっていう意味でもそうだし自分の楽曲っていう意味でもそうだし、自分自身の一個の結果、今年一年の結果を残したくて。そして来年その結果をどうするか考える日にしようと思って決めました。

ーー今後の活動について、どう動いていきたいと考えていますか?それこそワンマンやその先に向かって、何か見えているものや目指すものがあれば教えてください。

今年の話をしちゃうと、自分の中で変化のある年にしたいと思っています。やったことがないことをやっていきたい。それこそカホンのサポートを入れるとかも初めてでしたし。そして、やっぱり歌詞を書くこと、曲を作ることがすごく好きなんで、そこは変わらずずっとしていきながら、その中でも常により良いものを作りたいと思っています。

ワンマンをどういうものにしたいとかソールドアウトしたいとかそのための動きとして色々しなきゃいけないとか、そういうことももちろんあるんですけど、常に音楽の目標としてるものは、聴いてくださる誰かの心の中に、炎をつけるとかじゃなくて、その心の中にある火に薪をくべれるような音楽でありたいなと思っています。ゆくゆくは誰かが「救われた」って言ってくれるような音楽ができたらめちゃめちゃ幸せだなと。そういう音楽ができる自分でありたいです。

ーー最後に、このインタビューを読んでくださった方に向けてメッセージをお願いします。

今回のimanotoは僕と同世代のアーティストが10組参加してるんですけど、どれも素敵で、自分としてはすごくビシビシくるものがあって、世代とか年齢とか性別じゃなくて、楽曲ひとつひとつにそれぞれの人生が詰まってると思っています。10組の人生がこの中にあるっていうことが僕はすごくロマンを感じてるところなので、そのロマンを共有できたら嬉しいです。

なんかちょっと、本当はもっとかっこいいこと言いたいんですけど。笑


山先大生

Twitter:@dainama1996

Youtube:山先大生


<Pick UP LIVE!>

山先大生 単独公演「クリフハンガー」

出演:山先大生

18:30 op/19:00 st
一般 ¥2400(1ドリンク別途¥600)
学割 ¥1400(1ドリンク別途¥600)※学生証提示