現在の音楽シーンには欠かせない存在である、キーボーディスト・斎藤有太。
彼による"弾き語り"をコンセプトとしたライブシリーズ「ナマピー」が、2019年1月19日、折しも彼の誕生日からここ四谷天窓.comfortで始まった。
キーボーディストとしてのキャリアを築き上げた斎藤が、ソロアーティストとして自分の表現に向き合う。その心境を伺った。

profile …

1968年1月19日 東京生まれ

レコーディング&ツアーを中心に活動するキーボーディスト。 幅広いアーティストのプロデュース、スタジオセッション、ツアーサポート、楽曲提供など を手掛ける。

昨年、16年ぶりのオリジナルアルバム「The Band Goes On」を自らが設立したレーベ ル「DARASHINA RECORDS」よりリリース。

今年より「ナマピー」と題した弾き語りライブを定期的に開催。ソロアーティストとしても 精力的に活動していく予定。

斎藤有太 OFFICIAL WEBSITE → http://www.yuta-saito.com/


[ 音楽にのめり込む少年時代 ]

ーーまず、音楽を始めたきっかけを伺いたいのですが、最初はエレクトーンから入ったとライブで仰っていましたね。それはいつ頃だったのでしょうか?

そこがものすごい曖昧なんですけど、おれは5歳くらいだと思うんですよ、だけどおふくろは8歳くらいからだって言うんです。

もともと、ステレオとかレコードとかが他の家庭よりもある環境で、また親も音楽が好きだったんでそういうのを流してたんですよね。それにおれが異常に反応したらしくて、親が「天才か」と思うじゃないですか(笑)。

それで、親が近くのエレクトーン教室の先生に通わせようと思って、先におふくろが習って、で、それを見てたら、覚えて弾けるようになっちゃったの。

ーーそれはやっぱり天才ですよ!

親がまたそこで勘違いをして(笑)、そこからエレクトーン教室に通うようになって。やっぱり子供の頃は好きだったから、上達が早かったよ。猛スピードで。

その習った先生もいい先生で、原曲を聴きなさい、と、原曲の音源をカセットに入れてくれて聴かせてくれたの、その曲集のね。それがスティーヴィー・ワンダーだったり。

それはもうほんとに幼児体験としてはかなり自分の中に深くあって。だから、子供の頃から洋楽を聴いていたの。

そうやって教えてくれたんで、だからますますその音楽にのめりこむっていうか。

ーー中学生のときはどうでしたか?

その頃はサッカー部に入って。サッカーも楽しかったのね。音楽をやめるつもりとか音楽から離れるってことはなかったんだけど、やっぱりその部活でかなり時間がとられるようになって。

だけど、周りが一番褒めてくれるのは音楽だし(笑)、だからたぶん、これはずっと一生やっていくんだろうなってなんとなく子供の頃から思ってはいたんで。

で、いろいろ音楽を聴いているうちに、バンドをやっぱりいつかはやりたいって思うようになって。中学を卒業してから、先輩たちのバンドに入れてもらって。

ーーバンドを始めるんですね。そのときはキーボードで?

キーボードで。みんなそのバンドでプロになりたいと思っていて。

何社かレコード会社から声がかかってデビューしかけていたんだけど、メンバーがぼくより年齢が上だったのね。みんな二十歳過ぎていて、それぞれがこの先どうするんだって考え始める時期だったんで、今思えば全然若いんだけれども、あの時はこのままデビューできるんだろうかって、みんな思ってたみたいなんだよね。

 

[ そして、キーボーディストへ ]

ーーなるほど。20代半ばは、今後のことなどを一度考える時期かもしれないですね。

そのとき、おれはたまたまミッキー吉野さんが音楽学校を創るって知って。エレクトーンはやっていたけども理論的なことは正直全くわからないから、わかったほうがいいのかなと思って、その音楽学校に入ったの。

そうしたら、そのミッキー吉野さんが、まぁ一回生でしかも同じキーボードだから、とてもこう、かわいがってくれたっていうか。少し音楽の仕事もやってみたらって言われて。ま、見抜いてたんだよね、今思えば。それで、ミッキー吉野さんが当時持っていた劇伴の作曲だったりとか、映像に音をつけたりとか、ゲーム音楽だったり、そういう仕事をやらせてくれるようになったんですよ。そのうちに、ミッキー吉野さんにサポートとかの仕事がきた時も、紹介で業界にプッシュしてくれるっていう。

だから、学生の時からなんとなくそういう仕事を始めて。

ーーとてもいい出会いだったんですね。そこからプロとしてのキーボーディストとしての活動が始まったんですね。自分で歌うということはなかったんですか?

そうですね~。曲は作ってたけど、まさか自分がいわゆるリードボーカルとして歌うという考えは、そのときは全然なかったですね。

でも、プロとしての活動が忙しくなって、サポートとかアレンジだったりいろんなことするようになっていくうちに、途中で、あれ?って思ったのね。これはこれですごく楽しいし、充実してないわけじゃないんだけれども、こうやるためだけにやってるんだっけなぁって、やっぱり20代半ばくらいで考えるようになって。

それでまた曲を作って、初めて自分で詞も書いて。その詞を書いていたときに、これを表現するんだったら自分で歌わなきゃだめかもしれない、っていうことも思った。

それがきっかけかな、曲を作って、自分で歌うっていう。

ーー当時、その曲を人前で演奏するっていう機会はあったんですか?

人前で、というのはなかったんですけど、たまに、ミュージシャンの友達と曲を聴かせあったりとかね。だけど、自らライブハウスでやるというふうにはならなかったですね、そのときは。

ただ、曲が溜まっていったら、いずれアルバムとかつくりたいな、っていうのはその頃から思い始めて。

ーーそして1st Album『So』(2002年)が出来るんですね。また昨年は、16年ぶりとなる2nd Album『The Band Goes On』を発売されましたね!ここに収録されている曲はいつ頃作ったものなんですか?

けっこうバラバラで。

2011年から「solo×solo」という企画ライブを立ち上げたんだけど、当時、スイートベイジル(STB139 スイートベイジル)のブッキングをやっていた方がおれの初代のマネージャーで、彼女が久しぶりに連絡をくれて、もしも自分で何かやりたいことがあるんだったらここを使ってみない?って言ってくれたのよ。こういうことでもないと自分から何かをやろうとはしないだろうなと思ったんで、それを引き受けて。

それでゲストを呼んだりという形にして、それこそみんなの力を借りて、(奥田)民生くんにでてもらったり、Charaにでてもらったり、スキマスイッチの(大橋)卓弥や矢野まきちゃんとかね、今まで自分が関わった人が参加してくれて。

そのあとも「solo×solo」は定期的に続いて、どうせだったら新しい曲もやりたいってそれに合わせて作るようになっていったんですよね。そうしたら、その曲を早く形にしたいってまた思うようになって、で、去年レコーディングをやって、2nd Album『The Band Goes On』が出来たっていう。

 

[ “自分” をピアノで表現するライブ「ナマピー」]

ーーそして、今年の1月から、今回のライブシリーズ「ナマピー」が始まりましたね。コンセプトとしては、やはり「生のピアノ」があって、それでどうするかっていうことですかね?

そうですね、まずは。

ピアノってほんとになんでも出来るじゃない、楽器で。ロックンロールも弾ければ、ショパンも、ブルースも、ジャズも弾ければ、ほんとにピアノってすごい楽器で。

自分の曲だったり、声も歌も含めてなんだけど、人前でピアノを使って自分を表現する、そういうことと、もう少しちゃんと向き合いたいと思って。

ーー「斎藤有太」としてのライブを月ーのペースで行うというのはこれまでなかったかと思うのですが、様々な経験を経て、今だからこそ出来るというのがあるのでしょうか?

ありますあります。例えば、「今からここに出て、何かあなたを表現してください」って言われたときに、やっぱり僕らは何かができないといけないと思うんですよ、ミュージシャンとして。

全員、万人を感動させることは難しいけど、やっぱり何かできないと。そうじゃないと人からお金も貰えないし。それはやっぱり自分はプロとしてあって。

もちろんサポートしたりとかは、技術がないとできないことだし、キャリアも経験もあるんで、自信ももちろんあるし、それに対してはプロとしてあるんだけど。

自分の表現でも当然そうありたい、っていうのはあるのね。

音楽を聴いてもらって、なんでもいいんですけど、自分もそうだし、相手も心が動いたりとか、そういう何か意味があったらその形が理想だなと。

それで、そのためには「斎藤有太」としてのライブをやらないといけないし、自分も磨かなければいけないっていうか。だから今はどんな形であれ、たとえピアノがなかろうが、バンドだろうが、なんでもやりたいな、というかなんでもやろうと。51歳にして(笑)。

ーー次回「ナマピー vol.3」 は、3月29日(金)恵比寿天窓.switchになりますね!このライブの見所は?

ゲストが初めて参加します!アルバムにも参加してくれている、チャラン・ポ・ランタンの小春が来てくれるので。

小春はレコーディングにも参加してくれていて、その曲を初めて一緒にできるっていう。それはもう是非聴いて欲しくて。あと、小春はとても音楽IQ度が高いミュージシャンだから、即興的なことを一緒にできたらなぁと考えていて。

ーーそういう楽しみがありますよね、このシリーズは。

いろんな組み合わせが出来るんですよ、ピアノがあると。例えばパーカッションの人とも出来るし、ギターとも出来るし、もちろん歌の人とも出来るし、どんな楽器とも出来るんで。

だから、自分が音楽をやっていくうえで、一緒にセッションする楽しさみたいなものも是非みてもらいたい。人がひとり増えるだけでもいきなり変わるんで。

是非、3/29にそれは味わってもらいたいなと。

あと、これ言っちゃうけど、新曲もやります!最低1曲はやります。

それから、やっぱり今回もカバー曲もやります。自分のルーツみたいなのを、自分もやってると確認できたりもするし、そういう音楽を聴いてもらってみんながそれをいいと思ってもらえるといいな、というのもあるんで。

ーー次回も、そして、4月19日(金)四谷天窓.comfortでのvol.4も楽しみですね!最後に、このHPを見てくれている皆さんに一言お願いします。

こうやって自分の曲をピアノで弾き語りをするということを、まさかこの歳になって(笑) 自分で始めようなんて思うことすらなかったかもしれなかったんですけど、でも今こういうタイミングで、月に1回、天窓でライブをやらせてもらっているのが非常にありがたくてですね。

なので、どんどんどんどん進化していくと思いますし、進化させていきますので、是非、お友達を誘って(笑)、やっぱり少しでも多くの人に、まだ聴いたことがない人にも聴いてもらえたらいいなと思っているので、気軽に来れるライブにしますので、よろしくお願いします!

(2019年3月7日インタビュー)


< LIVE information >

◆ 斎藤有太「ナマピー」◆

2019/03/29(金)「ナマピー vol.03」
会場:恵比寿天窓.switch
guest:小春(チャラン・ポ・ランタン)
18:30 open / 19:00 start
前売¥4,500(税込)(1ドリンク別途¥600)
※3歳以上有料
・SMA☆TICKET:
 http://www.sma-ticket.jp/artist/saitoyuta
・イープラス:
 https://eplus.jp/yuta-saito19/
・電話予約受付:
 恵比寿天窓.switch 03-5795-1887
  (14:30~22:00※店休日を除く) 

2019/04/19(金)「ナマピー vol.04」
会場:四谷天窓.comfort
18:30 open / 19:00 start
前売¥4,500(税込)(1ドリンク別途¥600)
※3歳以上有料
・SMA☆TICKET:
 http://www.sma-ticket.jp/artist/saitoyuta
・イープラス:
 https://eplus.jp/yuta-saito19/
・電話予約受付:四谷天窓 03-5338-6242
 (※電話予約専用14:00~23:00)

CIRCLE'19 
2019/05/19(日) 
会場:福岡県 海の中道海浜公園 野外劇場
※5/19(日)出演の高橋ユキヒロバンドで参加。
9:30 open / 11:00 start
詳しくは「CIRCLE'19」公式サイトをご覧ください。

◆ 日比谷音楽祭 
2019/06/01(土) & 02(日) 
会場:日比谷公園
※The Music Park Orchestraとして出演。
入場・参加無料
詳しくは「日比谷音楽祭」公式サイトをご覧ください。


 
ALBUM『The Band Goes On』
2018/09/12 Release
発売元:DARASHINA RECORDS / Sony Music Artists

01. 夏の日
02. ジャストライク
03. ボレロ
04. Please! Prince! Music!
05. Ordinary Day
06. Interlude
07. 雪代水
08. 飛行船
09. Go On
10. 息するところ

[参加ミュージシャン]
奥田民生(guitar,chorus)、小原礼(bass)、湊雅史(drums)、屋敷豪太(drums)、有賀啓雄(bass)、小倉博和(guitar)、小春[チャラン・ポ・ランタン](accordion)、Atz Ogawa(guitar)、尾崎博志(pedal steel)、佐藤帆乃佳(violin)、亀田夏絵(violin)、菊地幹代(viola)、結城貴弘(cello)、佐久間勲(trumpet)、鈴木明男(sax)、古村敏比古(sax)、清岡太郎(trombone)、坪倉唯子(chorus)、TIGER(chorus)

▼斎藤有太『The Band Goes On』SPECIAL SITE
http://www.yuta-saito.com/special/thebandgoeson/